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ユーザー中心設計におけるアクセシビリティ: スクリーニングテクニック

アクセシビリティの評価では、アクセシビリティを一般的な評価方法に含めるためのガイダンスを提供し、スクリーニングテクニックを紹介します。本セクションでは、スクリーニングテクニックの下記の側面に関して説明します。

スクリーニングテクニックとは何か?

スクリーニングテクニックは、製品の設計における潜在的なアクセシビリティの障壁を発見するための簡単な活動です。ほとんどのスクリーニングテクニックは、1つあるいは複数の身体的または感覚的な能力を取り除くか、あるいは変更して製品を取り扱います。たとえば、厚い手袋をはめて手がうまく動かないようにしたり、視力低下の状態になる眼鏡あるいは目隠しをして視野を制限したりすることです。

弱視を模擬する眼鏡をかけて携帯電話を操作している様子の写真

スクリーニングテクニックには、適応手段、支援装置、および支援技術の使用が含まれます。たとえば、ソフトウェア設計者は、ディスプレイの電源を切り、スクリーン・リーダーを用いて、自分が開発したアプリケーションを使用します。また、ユーザビリティスペシャリストは、腕や手を使えない人にとって製品がどの程度使用できるかを知るために、マウススティックを使用したり、マウスをはずしたりします。

障害の無い人がマウススティックを使っている様子の写真

スクリーニングテクニックは、設計および評価の初期の段階で、本書全体で説明している他の方法と併用することで、最も効果的に使用することができます。

スクリーニングテクニックは、シミュレーションにあらず

スクリーニングテクニックは、障害シミュレーションではありません。「シミュレーション」という言葉は、状況や状態を正確に再現することを意味しますが、スクリーニングテクニックは、障害者の実体験を再現するものではありません。障害者は体の機能が限られた状態で製品を使用することに慣れているため、スクリーニングテクニックを使用している人よりも、製品をはるかにうまく使用できる可能性が高いです。

スクリーニングテクニックがシミュレーションでないことを理解することが重要である理由の1つは、スクリーニングテクニックが不完全あるいは不正確な結果をもたらすことがあるからです。たとえば、スクリーン・リーダーは、学習曲線が非常に優れたものですが、スクリーニングにこれを使用する設計者のほとんどは、多くの機能について知りません。設計者は、問題を発見した場合、スクリーン・リーダーを使用する自分のスキルが欠けていることが問題であっても、製品が原因であると判断する可能性があります。

なぜ、スクリーニングテクニックを使用するのか?

スクリーニングテクニックは、簡単で、迅速、そして安価です。設計者および評価者は、さまざまな種類の評価を用いて、設計プロセス全体を通してスクリーニングテクニックを使用します。スクリーニングテクニックは、潜在的な設計の問題を早期に発見し、多大な再設計コストおよびプロセスの後の段階での遅延を回避することができます。

スクリーニングテクニックは、正式なテストを行う前に明らかな問題を発見できるため、後で実際に障害者が参加して行うユーザビリティ・テストをより効率的なものにします。スクリーニングテクニックを使用し、パイロットテストを実行することで、障害者を参加させたものの、製品の使い勝手があまりにも悪いためにユーザビリティ・テストを完了できないという落とし穴を避けることができます。スクリーニングテクニックを通して大きな問題を取り除くことにより、ユーザビリティ・テストでは、より微妙な問題および問題点に集中することができます。

アクセシビリティの評価における課題の1つは、「ユーザビリティ・テストの計画」のセクションの「参加者の特性の判断」で説明したように、体のどの機能の制限を含めるかの判断です。スクリーニングテクニックは、一般的に安価で簡単であり、より多くの体の機能の制限を評価することができます。逆に、障害者が参加する正式なユーザビリティ・テストは、もっとコストがかかります。ある研究では、目の見えない参加者が行った製品評価と、目の見える参加者が目隠しして行った製品評価で、同様の結果が出ました[1]。しかし、多くの場合、スクリーニングテクニックでは、特に支援技術を使用しているときには同様の結果が出ません。スクリーニングテクニックと、実際の障害者による評価を併用することがベストです。

本セクションでは、主にアクセシビリティの評価におけるスクリーニングテクニックの使用に関して説明していますが、テクニックは、トレーニングおよび認識のために貴重なツールでもあります。製品の設計者は、アクセシビリティスクリーニングテクニックを用いて製品を使用ことで、アクセシビリティに対応した設計をよりよく理解することができます。

スクリーニングテクニックの使用

下記のようなさまざまな種類の評価において、設計プロセス全体を通して、スクリーニングテクニックを応用してください。

身体的あるいは感覚的な能力を制限するスクリーニングテクニックを使用する場合は、特に注意してください。たとえば、目隠しをするとバランスをうまく取れないことがあり、耳を塞ぐと音声による警告が聞こえないことがあります。

ユーザビリティ・テストの準備」のセクションの「支援技術に慣れる」では、支援技術を使用する場合の一般的な提案について説明しています。

スクリーニングテクニックの説明

下記の論文および参考文献では、いくつかの具体的な特定のアクセシビリティスクリーニングテクニックが取り扱われています。

参考文献

  1. Law, C. and Vanderheiden, G.C. Reducing Sample Sizes When User Testing with People who Have, and who are Simulating Disabilities — Experiences with Blindness and Public Information Kiosks. Proceedings of the XIVth Triennial Congress of the International Ergonomics Association and 44th Annual Meeting of the Human Factors and Ergonomics Society, 2000.

本章の一部の情報は、下記の文献として既に出版されています。


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